さいたま市立浦和くらしの博物館民家園は、埼玉県さいたま市緑区に位置する野外博物館です。この博物館は、江戸時代中期から大正時代にかけて建築された民家や倉庫を移築・復原して展示しており、さいたま市指定文化財や国の登録有形文化財に指定された建物も含まれています。
さいたま市立浦和くらしの博物館民家園は、1728年(享保13年)に干拓されてできた見沼田んぼの中央に位置しています。急速な宅地開発により、旧浦和市内の歴史的な民家が解体される状況を受け、これらの建物を保存するために移築・復原する形で開設されました。
この博物館では、主に小・中学生を対象に体験学習や社会科見学の受け入れを行っており、入園は無料です。来館者は、歴史的な古民家を見学することができ、市民に親しまれています。ただし、鉄道駅からのアクセスが悪いため、自家用車やバスでの来館が多いのが現状です。
さいたま市立浦和くらしの博物館民家園には、以下の歴史的建造物が移築・展示されています。
管理棟には、自動体外式除細動器(AED)とお手洗いがあります。ロビーには昔の遊び体験コーナーがあり、自由に体験することができます。また、各種パンフレットやチラシも置いています。管理棟は民家園主催の講座開催会場としても使用されています。
この建物は国登録有形文化財建造物であり、内部は展示室・収蔵庫として使用されています。
建築面積: 146.4平方メートル
延床面積: 250.34平方メートル
構造: 鉄筋コンクリート造2階建
この倉庫も国登録有形文化財建造物であり、展示室・収蔵庫として使用されています。
建築面積: 197.31平方メートル
構造: 大谷石化粧積(石造り及び木造-鉄筋コンクリート柱補強)、寄棟土居葺屋根、平屋建
建築年代: 大正8年
旧蓮見家住宅は、さいたま市緑区井沼方、大宮台地の南端部にありました。井沼方は江戸中期享保年間に井澤弥惣兵衛為永によって干拓が行われた見沼田んぼの西に隣接する地域です。建物の建築年代を示すものはありませんが、構造手法から見て、江戸時代中期18世紀の前半と推定されています。
建築面積: 103.43平方メートル
構造: 木造 茅葺き土壁 平屋建
この門は、市内三室で代々農業を営んできた武笠家から寄贈されたもので、平成6年度に移築復元されました。寄棟、茅葺きの長屋門で、正面13.76メートル、側面4.55メートルの規模です。建築年代は天明3年(1783年)の護摩札が確認されていることから江戸時代後期の建築と考えられます。
建築面積: 62.61平方メートル
構造: 木造、寄棟茅葺き、土壁、平屋建
旧綿貫家住宅は、市指定文化財であり、建築面積46.17平方メートルの木造、塗屋造りの建物です。屋号を「菱屋」と呼び、明治時代初期に建てられました。旧中山道に面して建ち、平入りの「つし(厨子)」2階切妻造りで、虫籠窓(むしこまど)が特徴的です。
旧中島家穀櫃は、市内三室の中島家から寄贈され、平成6年度に移築復元されました。穀類を保存する板倉で、間口2.94メートル、奥行き1.16メートルの寄棟、茅葺きの小建築です。
建築面積: 3.32平方メートル
構造: 木造、寄棟茅葺屋根、平屋建
建築年代: 江戸時代後期
旧野口家住宅は、旧大谷口村(現さいたま市南区大谷口)に所在し、寺の庫裏として使用されていた建物です。安政5年(1858年)に建てられたもので、市指定文化財となっています。
建築面積: 127.53平方メートル
構造: 木造、寄棟 茅葺屋根、土壁、平屋建
建築年代: 江戸時代末期
旧高野家住宅は、市指定文化財であり、建築面積78.64平方メートルの木造、茅葺き土壁の平屋建です。中山道沿いの岸町7丁目にあった煎餅を製造販売する商家で、建築当初の形に復原されています。
旧丸山稲荷社本殿は、市内桜区西堀8丁目の氷川神社から移築されました。一間社流造り、屋根板葺きの小さな神社本殿で、元文3年(1738年)に建立されました。村の大工が建てた神社本殿であり、近世の村の神社本殿の整備を知る上で貴重な遺構です。
建築面積: 60平方センチメートル(身舎)、46センチメートル(庇の出)
構造: 一間社流造り、屋根板葺き
建築年代: 元文3年(1738年)
さいたま市立浦和くらしの博物館民家園へのアクセス方法は以下の通りです。