埼玉県行田市にある埼玉県立さきたま史跡の博物館は、国指定特別史跡である埼玉古墳群の保存と活用を目的として設立された、さきたま古墳公園内にある博物館です。特に、国宝「武蔵埼玉稲荷山古墳出土品」をはじめとする貴重な考古資料が展示されており、古代日本の歴史と文化を深く理解できる施設として知られています。
さきたま史跡の博物館は、国指定特別史跡『埼玉古墳群』及び国宝『武蔵埼玉稲荷山古墳出土品』をはじめとする貴重な文化財を展示しています。主な展示施設として「将軍山古墳展示館」や「国宝展示室」があり、5世紀末の古代国家成立の謎を解くための超一級資料である金錯銘鉄剣(現在はレプリカ展示中)などが展示されています。
100年に一度の大発見と言われる鉄剣のほか、稲荷山古墳の埋葬施設から出土したヒスイの勾玉や鏡などの副葬品もすべて一括で国宝に指定されています。また、「まが玉作り」や「古墳ガイドツアー」などの体験プログラムも提供しています。
当博物館は1969年に埼玉県立さきたま資料館として開館しました。埼玉県の県立博物館再編計画に伴い、2006年に現在の名称に改称されました。展示施設は本館と将軍山古墳展示館からなります。
本館には国宝展示室と企画展示室のふたつの展示室があり、国宝展示室では金錯銘鉄剣(国宝)などさきたま古墳群やその周辺の遺跡の出土品が展示されています。企画展示室では定期的に企画展が開催されています。
将軍山古墳展示館は1997年にオープンした施設で、埋葬の様子が復元された石室の内部を見学できます。2013年に閉館した旧長瀞綜合博物館から「笑う埴輪」や「十鈴鏡」などが寄贈され、2016年2月20日から「新収蔵品展~旧長瀞綜合博物館からの寄贈資料」が開催されています。
国宝展示室では、国宝「武蔵埼玉稲荷山古墳出土品」をはじめとする、埼玉古墳群の各古墳から出土した貴重な文化財を常時展示しています。
当館の象徴である国宝・金錯銘鉄剣は、5世紀末の古代史の手がかりとなる超一級資料です。その他、金錯銘鉄剣とともに出土し国宝に指定された勾玉や鏡などの副葬品も展示しています。
国宝展示室では、各古墳から出土した珍しい出土品も展示されています。
さきたま体験工房は、「いつでもだれでも体験学習・調べ学習ができる解放された空間」として、まが玉作りや図書を使った調べ学習などができる体験学習スペースです。
将軍山古墳展示館は、将軍山古墳の内部を利用した展示施設です。館内では発掘調査で出土した石室の一部や、墳丘の土の層、出土品の複製等を展示しています。復元した墳丘に立てられた埴輪の複製からは、当時の姿を知ることができます。
入口正面の壁には、墳丘崖面の土の層を剥ぎ取りしたパネルを展示しており、1500年前の人々が実際に積み上げた土を観察することができます。1階の奥では、将軍山古墳から出土した馬具の複製品を付けた馬を展示しています。2階には、実物大の横穴式石室の一部と埋葬時の様子を復元しています。
馬用のカブトである馬冑や、蛇行状鉄器、銅鋺など副葬品の実物は、本館の国宝展示室でご覧になれます。
将軍山古墳は、1894年(明治27年)に地元の人々により発掘され、横穴式石室から多くの副葬品が出土しました。その後、墳丘はかなり崩れてしまいましたが、これらの遺構や遺物を保存活用するために、墳丘や堀の復原とともに石室の内部を見学できる展示館を1997年(平成9年)に設置しました。
当館が保管する「金錯銘鉄剣」などの稲荷山古墳出土品一括は「武蔵埼玉稲荷山古墳出土品」として、1981年に重要文化財、1983年に国宝に指定されました。出土品の所有者は日本国(文化庁)です。
稲荷山古墳からは、金錯銘鉄剣、神獣鏡、硬玉勾玉、銀環、刀剣類、馬具類などの遺物が出土しました。このうち金錯銘鉄剣は、剣身の両面に計115文字の銘文が金象嵌で記されており、古代史研究上の一級資料です。銘文中に「辛亥年」の年紀と「獲加多支鹵大王」の人名があります。通説では「辛亥年」は471年、「獲加多支鹵」は「ワカタケル」と読み、雄略天皇(『宋書』に記す倭王武)に該当するとされます。
以下は国宝指定物件の明細です:
(以上第一主体部出土)
(以上第二主体部出土)
有形文化財