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忍城・御三階櫓

(おしじょう ごさんかい やぐら)

水攻めを耐え抜いた「浮き城」

忍城は、関東七名城の一つに数えられる名城で、室町時代の文明年間(1469年〜1486年)に山内上杉氏の家臣である成田親泰によって築かれたと伝えられています。

豊臣秀吉の関東平定の際には、石田三成による水攻めにも耐えたことで「浮き城」として有名です。この戦いは日本三大水攻めの一つとしても知られ、映画「のぼうの城」のモデルにもなりました。

御三階櫓の再建と郷土博物館

かつての御三階櫓は現在の水城公園付近に建てられていましたが、明治時代の廃城令に伴い解体されました。しかし、昭和63年に三階櫓が再建され、現在では「忍城御三階櫓」として再びその姿を取り戻しました。この再建された櫓は、内部が郷土博物館の展示室として利用されており、最上階からは市内の美しい景観を一望することができます。

忍城は、現在では「続日本100名城」の一つに選定されており、その周囲は忍城址公園として整備されています。

御三階櫓の展示内容

御三階櫓の内部には、様々な展示が行われています。2階展示室では、火消し装束や近世の忍城と城下町、周辺の村々での人々の生活や生活用具、絵図などが展示されており、当時の生活様式や文化が紹介されています。

3階展示室では、行田市の近代化について、産業の発展や行政制度の変化、学校の移り変わりなどの視点から紹介されています。これにより、行田市がどのように発展してきたかを学ぶことができます。

展望室からの眺望

御三階櫓の4階展望室からは、行田市の街並みを一望することができ、歴史的な雰囲気とその周囲の自然美を感じることができます。

忍城の別名と特徴

忍城は、「忍の浮き城」や「亀城」とも呼ばれ、その名は湿地帯に囲まれた特殊な地形に由来します。この城は、広大な沼地と自然堤防を利用した構造を持ち、数々の攻撃にも耐え抜きました。そのため、一度も陥落することなく、その頑丈さが評価されています。

城の歴史と戦国時代の逸話

忍城は、戦国時代に太田城、宇都宮城、唐沢山城、金山城、前橋城、川越城と並んで関東七名城の一つに数えられました。1590年、豊臣秀吉の小田原征伐の際には、石田三成が指揮する水攻めにも耐えました。

城主の成田氏長は小田原城に籠城し、忍城には成田泰季を城代として約500人の武士と3,000人の町民や農民が立てこもりました。石田三成は石田堤を築いて水攻めを試みましたが、忍城は落城せず、その後、小田原城が陥落し忍城は開城しました。この歴史から「忍の浮き城」とも呼ばれるようになりました。

江戸時代と廃城後の変遷

江戸時代には、徳川家康の四男・松平忠吉が城主となり、忍藩の政庁として機能しました。1639年には阿部忠秋が城を拡張整備し、新たに御三階櫓が建てられました。しかし、1871年の廃藩置県に伴い廃城となり、ほとんどの構造物は取り壊されました。

現在、城跡は埼玉県指定の旧跡となり、本丸跡には再建された御三階櫓が立っています。水堀や沼地の一部は水城公園として整備されており、当時の名残を感じることができます。

近代における忍城とその保存

明治時代以降、忍城の構造物はほとんどが撤去されましたが、一部の建造物は移築されて保存されています。例えば、北谷門は加須市の總願寺に、高麗門形式の城門は行田市郷土博物館の駐車場脇に現存しています。また、本丸土塁の一部も保存されています。

2017年には忍城が続日本100名城に選定され、歴史的価値が再評価されています。湿地帯を利用した平城であり、沼を埋め立てず独立した島を曲輪として築かれたこの城は、現代でもその独特な構造を鑑賞することができます。現在は、水城公園として整備され、訪れる人々にその歴史と文化を伝えています。

Information

名称
忍城・御三階櫓
(おしじょう ごさんかい やぐら)
リンク
公式サイト
住所
埼玉県行田市本丸17-23
電話番号
048-554-5911
営業時間

9:00~16:30

定休日

月曜日(祝日・休日の場合は開館)
祝日の翌日(土日の場合は開館)
毎月第4金曜日(企画展中の場合は開館)
年末年始

料金

併設され行田郷土博物館 入館料
一般 200円
大学・高校生 100円
中学・小学生 50円

駐車場
無料 50台
アクセス

○JR高崎線行田駅(東口)から
・市内循環バス西循環コース(右回り)「忍城址・郷土博物館前」下車すぐ
・市内循環バス西循環コース(左回り)「行田市バスターミナル」下車徒歩約5分
・市内循環バス観光拠点循環コース「行田市バスターミナル」下車徒歩約5分

○JR高崎線吹上駅(北口)から
・行田折返し場・行田市駅・総合教育センターゆき朝日バス(前谷経由)「忍城」下車すぐ
・行田折返し場・総合教育センター・工業団地ゆき朝日バス(佐間経由)「新町1丁目」下車西へ徒歩約10分

○秩父鉄道「行田市駅」(南口)から徒歩約15分

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