埼玉県所沢市にある「旧和田家住宅」は、国の登録有形文化財に指定された歴史ある古民家です。愛称の「クロスケの家」として親しまれ、地域の人々に愛されています。
旧和田家住宅には、以下の3つの建物が含まれています。
これらの建物は、1957年(昭和32年)に埼玉県越生町から移築されました。
旧和田家住宅の歴史は次の通りです。
旧和田家住宅(クロスケの家)主屋は、木造2階建て瓦葺きの建造物で、1902年(明治35年)頃に建築されました。昭和32年(1957年)に埼玉県越生町から移築されました。
一般的な農家の土間は時代とともに小さくなる傾向がありますが、この主屋は製茶の過程で生の茶葉を広げる必要があったため、広い土間を有している点が特徴です。
敷地中央に南面して建ち、木造二階建、切妻造桟瓦葺で、周囲に下屋を廻らせています。東半に土間と事務所を配し、西側の床上部は整型四間取を基本として背面に奥行一間半の下屋を通しています。狭山茶の製茶に用いた広い土間を持つなど、県南丘陵部の民家の特徴を伝えています。
登録年月日:平成25年6月21日
所在地:所沢市三ケ島3丁目1169番地の1
旧和田家住宅(クロスケの家)製茶工場は、木造平屋建て鉄板葺きの建造物で、1902年(明治35年)に蚕室として建てられ、その後、茶工場とするために増築されました。養蚕を行っていた頃の名残や、茶業のためのプロペラなどの設備が見られます。
主屋西隣に東西棟で建ち、木造平屋建、切妻造鋼板葺で、東面と南面を下屋としています。北西寄りの桁行七間梁間三間分が当初の蚕室部で、小屋に二層の簀子床を張る構造です。養蚕用に建てられ、後に製茶工場とするため拡張された経緯をとどめ、生業の変遷過程を示しています。
登録年月日:平成25年6月21日
所在地:所沢市三ケ島3丁目1166番地の2
旧和田家住宅(クロスケの家)土蔵は、土蔵造2階建て瓦葺きの建造物で、1887年(明治20年)頃に建築されたと推定されています。製茶作業場のほか、茶の最盛期に働きに来る人々の宿泊所としても活用されました。
主屋南側に東西棟で建ち、土蔵造二階建、置屋根式の桟瓦葺です。北西面に、茶葉乾燥用のノキバと称する下屋を廻らせています。外壁は腰を洗出し仕上げ、上部を漆喰塗として水切を廻らし、北面の上下階に二箇所ずつ窓と戸口を設けています。茶農家の屋敷構えを整える土蔵です。
登録年月日:平成25年6月21日
所在地:所沢市三ケ島3丁目1169番地の1
「旧和田家住宅(クロスケの家)主屋」「旧和田家住宅(クロスケの家)製茶工場」「旧和田家住宅(クロスケの家)土蔵」の3棟は、2004年(平成16年)に公益財団法人トトロのふるさと基金が取得し、「クロスケの家」という愛称で親しまれています。