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多聞院

(たもんいん)

牡丹の花とトラで名高い、静かで美しい寺院

埼玉県所沢市にある多聞院は、開拓民の祈願所として創建された真言宗の寺院です。境内には武田信玄の守り本尊であったという純金の毘沙門天を祀り、開運招福の寺として、江戸時代初期の創建以来、地域の人々の信仰を集めています。

寅は毘沙門天の化身とされ、身に降りかかる災いを託して「身代わり寅」を奉納します。ぼたんの寺とも呼ばれていて牡丹の花など四季折々の美しい風景と、様々なイベントが繰り広げられる寺院です。

多聞院の歴史

多聞院は、元禄9年(1696年)に川越藩主の柳沢吉保によって三富新田の開拓地に創建されました。開山は江戸四谷愛染院第四世榮任和尚です。創建当時、毘沙門社は御宮、拝殿、別当寮、鳥居から成り立っていました。

多聞院 毘沙門堂

多聞院毘沙門堂は明和3年(1766年)に完成しました。その後、昭和57年(1982年)に大規模な修理が行われ、茅葺き屋根から銅板葺きに改修されました。堂は正面三間、側面三間の三間堂で、正面一間に向拝を付し、背面三間に下屋庇を設けています。内部は内陣と外陣に分かれ、内陣は一部板張りの畳敷きで、正面奥に須弥檀が設けられています。

武田信玄の守り本尊

寺伝によると、本尊の毘沙門天は武田信玄の守り本尊であり、信玄が戦陣に臨む際に兜の中にこの像を納めていたと伝わります。信玄の没後、この毘沙門天像は柳沢吉保の手に渡り、多聞院に安置されました。また、毘沙門堂の前には一対の虎の石像が奉納されており、毘沙門天の御使が虎であることに由来します。

多聞院の四季折々の風景

多聞院は四季折々の風景が美しく、訪れる人々の心を穏やかにしてくれる場所です。特に牡丹の花が咲き誇る時期には、多くの参拝者が訪れます。

牡丹の寺としての多聞院

多聞院の境内には、立体曼荼羅をイメージして植え込まれた23種類300株の牡丹が咲き、通称「牡丹の寺」として親しまれています。その他にも、山百合、泰山木、八角蓮、蝋梅などの花々が境内を彩ります。

多聞院の本尊

多聞院本堂の本尊は大日如来ですが、毘沙門堂には武田信玄の守り本尊であった黄金の小さな毘沙門天像が本尊として祀られています。この毘沙門天像は信玄が戦勝を祈願して兜の中に納めて戦場に赴いていたもので、信玄の没後、柳沢吉保の手に渡り、現在の場所に安置されました。この本尊は12年に一度、寅年の5月1日に開帳されます。

境内の見どころ

狛虎と鬼の石像

多聞院の入口には狛犬が、毘沙門堂の前には狛虎が配置されています。この狛虎は細身でしなやかな曲線が特徴的で、1866年(寅年)に制作されたものです。また、「鬼の悟り」石像や「鬼の寒念仏」像、弘法大師(空海)の石座像、正一位稲荷大明神、子育・水子地蔵菩薩立像なども見どころです。

半僧坊大権現の社

多聞院の向かって左手西側には神明社が隣接しています。神仏分離以前は同一境内だったため、今日でもその垣根は低く、初詣の参拝客などは自然と社寺両方に参拝することができます。

文化財と行事

毘沙門堂の文化財指定

毘沙門堂は1766年(明和3年)に竣工し、江戸中期の建築物として所沢市の有形文化財に指定されています。また、境内には1856年(安政3年)に三上文筌が描いた虎の絵馬や、1857年(安政4年)に上富の住民が奉納した絵馬が保存されています。

寅まつりと身代わり寅

毎年5月1日には毘沙門天の化身とされる虎に因んで「寅まつり」が催され、無病息災を祈願する大法要が行われます。また、初詣や寅まつりの頃には「身代わり寅」を奉納する人が多く、堂の欄干部までが小さな黄色の寅で埋め尽くされる光景が見られます。「身がわり寅」は、毘沙門天の化身とされる寅に、身に降りかかる災いを託して奉納するものです。

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名称
多聞院
(たもんいん)

飯能・所沢

埼玉県