埼玉県越生町にある黒山三滝は、日本を代表する滝の一つとして知られています。男滝、女滝、天狗滝の3つの滝から成り、その雄大な姿は多くの人々を魅了してきました。県立黒山自然公園に属していて、1950年には新日本観光地百選の「瀑布の部」で第9位に選ばれた、美しい景勝地です。
黒山三滝は、男滝(おだき)、女滝(めだき)、天狗滝の3つの滝の総称です。越辺川支流の三滝川に落ちるこの滝群は、室町時代に山岳宗教修験道の拠点として開かれ、広く信仰を集めました。昭和26年には、三滝を中心とする広い地域が県立黒山自然公園に指定されています。
男滝(おだき)と女滝(めだき)は上下二段の滝であり、その近くには天狗滝があります。男滝の落差は10メートル、女滝の落差は5メートルで、上段が男滝、下段が女滝となっています。一方、天狗滝の落差は20メートルで、男滝・女滝から少し離れた場所に位置しています。天狗滝の名は、霊山に天狗が住むという伝説に由来しています。
黒山三滝は、一年を通して美しい景観を楽しむことができます。春の新緑、夏の清涼、秋の紅葉、冬の雪景色と、各季節の美しさは格別です。特に紅葉の季節には、多くの観光客が訪れ、その美しさを堪能しています。
黒山三滝は、室町時代に山岳宗教修験道の拠点として開かれ、広く信仰を集めました。江戸時代には観光地としても知られ、多くの人々が訪れる場所となりました。また、幕末には尾張屋三平が江戸に紹介し、多くの信仰を集めました。その時代に建てられた道標は、現在も黒山三滝の入口付近に残っています。
毎年7月の第1日曜日には、黒山三滝滝開きが行われます。1951年に県立黒山自然公園に指定されたのを機に始められたこの儀式は、神主、巫女、僧侶、修験者、天狗などが参加し、奥武蔵地方に夏の訪れを告げる神事として定着しています。
黒山三滝周辺には、修験者の修行の場として多くの宗教施設が作られてきました。特に、大平山には修験者栄円の墓や役小角の像があり、信仰の場として知られています。
滝の手前には、明治時代初めに発見された黒山鉱泉があります。ここは田山花袋や野口雨情、佐佐木信綱など、多くの文化人に愛されました。現在、鉱泉宿の近くには田山花袋の記念碑が建てられています。
2000年(平成12年)5月5日には、黒山三滝は埼玉新聞社の「21世紀に残したい・埼玉ふるさと自慢100選」に選出されました。これは、黒山三滝が持つ美しさと歴史的価値が評価された結果です。
黒山三滝は、新日本観光百選に選ばれた景勝地であり、特に夏の清涼は格別です。起伏に富んだコースは健脚な人に最適で、峠からは絶景を眺めることができます。自然が作り出した芸術作品である黒山三滝を訪れ、その美しさを堪能してみてください。