埼玉県 » 飯能・所沢

聖天院

(しょうでんいん)

奈良時代に高句麗から渡来した人々によって開かれた古刹

聖天院は、埼玉県日高市に位置する真言宗智山派の寺院で、武蔵野三十三観音霊場の第26番札所として知られています。751年に創建され、高句麗から渡来した高麗人によって開拓された高麗郷の高台に位置しています。

本尊には不動明王を祀り、さらに高麗王若光守護仏聖天尊なども祀られています。境内には遊歩道や見晴台が整備されており、春には樹齢170年の彼岸桜をはじめ、しだれ桜やソメイヨシノなど様々な桜が咲き誇ります。

歴史と背景

聖天院は高麗王若光の菩提寺として創建されました。寺号は若光が高句麗から持参した歓喜天を本尊としたことに由来します。1345年には法相宗から真言宗に改宗し、天正18年(1590年)には徳川家康が関東に入国した翌年に、寺領として高麗郷内に15石を寄進されました。

また、境内には庭園や高麗王若光王陵、在日韓民族無縁慰霊塔などがあり、寺の紋章は菊花紋章を採用しています。

境内の施設

山門(風神雷神門)

山門は日高市指定文化財であり、瓦葺の総欅造りの二層楼閣です。天保初年から3年にかけて建築され、優美さと重厚さを兼ね備えた建造物です。楼閣の二階には山号額が掲げられ、門左右には風神、雷神が祀られています。門内の天上画は龍と鳳凰が描かれています。

高麗王若光の墓

この墓は市指定文化財で、五個の砂岩を重ねた多重塔です。かつては四仏が刻まれていましたが、現在では風化によりその形跡は不明です。鎌倉時代以前に建立され、昭和46年には修復が行われました。

庭園

庭園は山水を取り入れた美しい景観を持ち、書院や茶室から眺めることができるように設計されています。池や庭石の配置が工夫されており、四季折々の風情を楽しむことができます。

阿弥陀堂

阿弥陀堂は市指定文化財で、足利時代の建築とされています。寺記には「宝永年間高岡村金子六左衛門為父母菩提再建之」とあり、本尊として阿弥陀如来三尊が祀られています。堂内には武蔵野観音霊場本尊聖観音、十王尊などが安置されています。

本堂

本堂は平成12年に建てられ、京都神護寺をモデルにしたもので、総欅造りの重厚な伽藍です。本尊として不動明王が祀られ、内部には大日如来、釈迦如来、地蔵菩薩、愛染明王、観音・勢至菩薩が配祀されています。堂内左手には若光守護仏聖天尊が祀られています。

雪山(石灰岩)

本堂造成時に発見された石灰岩の大塊は「雪山童子」にちなみ名付けられました。7月にはノウゼンカズラの花が岩肌を美しく彩ります。

在日韓民族慰霊塔

この慰霊塔は、終戦前後の在日韓民族無縁仏の慰霊と供養を目的に建立されました。高さ16メートルの石塔で、下部には納骨室があります。また、朝鮮様式の八角亭や韓民族の偉人の石像が並び、異国情緒豊かな空間が広がっています。

文化財

聖天院には多くの文化財が存在しています。国指定の重要文化財である「梵鐘(文応二年銘)」や埼玉県指定有形文化財の「聖天院応仁鰐口」、市指定有形文化財の「聖天院阿弥陀堂」や「聖天院山門」などがその代表です。これらの文化財は、寺院の歴史と文化的価値を伝える重要な遺産です。

慰霊塔

関東大震災朝鮮人虐殺事件や太平洋戦争中の朝鮮人の犠牲者を悼むため、在日韓民族無縁慰霊塔および納骨堂が敷地内に建立されています。この慰霊塔は、韓国併合時代の36年間を象徴しており、毎年慰霊祭が行われています。

Information

名称
聖天院
(しょうでんいん)

飯能・所沢

埼玉県