埼玉県所沢市にある所澤神明社は、旧所沢町の鎮守として古くから地域の人々に親しまれてきた神社です。日本武尊が東国平定の際に天照大御神を祀ったと伝えられ、所沢の鎮守として人々の信仰を集めてきました。境内には市内で最も大きいケヤキをはじめ、カシやクスノキなどの樹木が生い茂り、歴史と安らぎを感じさせる景観となっています。
所澤神明社は、日本武尊が東国平定の際に天照大御神を祀り、戦勝祈願をしたことが始まりとされています。文政9年(1826年)に火災で記録資料が焼失し、それ以前の詳細は不明ですが、長い歴史を持つ神社です。明治35年(1902年)には御本殿・玉串門が、昭和9年(1934年)には幣殿・拝殿が竣工し、関東有数の大規模な神明造の社殿として知られています。
明治44年(1911年)に日本最初の飛行場である所沢飛行場が開設され、その初飛行のパイロットとなった徳川好敏が正式参詣したことから、飛行機と空の安全に関する祈願のために参拝客が訪れるようになりました。
所澤神明社は、所沢市の産土(うぶすな)の神として「所澤総鎮守」とも呼ばれています。主祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)で、倉稲魂大神(うかのみたまのみこと)と大物主大神(おおものぬしのおおかみ)も祀られています。
境内には樹齢数百年の御神木をはじめ、青々とした樹木が茂り、訪れる人々に安らぎを提供しています。特に御神木の樫は数々の伝説を秘めた老木で、西大門の参道には二丈余りの老けやきが立ち並んでいます。
境内には多数の摂社や末社があり、それぞれに特徴的な祭神が祀られています。主な摂社には、蔵殿神社(くらどのじんじゃ)や鳥船神社(とりふねじんじゃ)、稲荷社などがあります。また、末社には八雲神社(やくもじんじゃ)、天神社、琴平神社、水天宮などがあり、それぞれが地域の人々に信仰されています。
所澤神明社には、病気平癒の神々も祀られています。瘡守稲荷社(かさもりいなりしゃ)や大国主神社(おおくにぬしじんじゃ)、煩宇斯神社(わずらいうしじんじゃ)などがあり、病気平癒を祈る参拝者が訪れます。
所澤神明社の境内には、多くの歴史的な施設が点在しています。総檜造りの拝殿は昭和9年(1934年)に造営され、屋根には先端が水平に切られた千木の間に太い鰹木が並んでいます。また、龍彫刻の手水舎や富士講の跡、大正天皇行幸記念碑、三ヶ島葭子の歌碑なども見所の一つです。
所澤神明社では、年間を通じて多くの祭事が行われています。
1月1日に行われる元旦熊手市は、縁起物の熊手を販売し、多くの参拝者が訪れます。
2月3日に行われる節分祭では、新年を祝い除災幸福を願う祭事が行われます。「福は内」とだけ唱えて豆が撒かれます。
6月第1日曜日に行われる人形供養祭では、長年子供の成長を見守ってきた人形に感謝の気持ちを込めて供養します。所沢や近隣の市町村から多くの人形が納められ、規模の大きな祭事となっています。
6月30日に行われる夏越の大祓では、前半年の心身の穢れや罪を形代に移し、茅の輪を3回くぐることで心身を清めます。
8月7日に行われる七夕祭では、境内が笹竹や吹き流しで飾られ、七夕祈願祭や奉納コンサートが開催されます。
9月15日に行われる秋季例大祭は、所澤神明社の最も重要な祭典です。多くの氏子が参詣し、古式で執り行われます。
所澤神明社は、地域の人々に愛され続ける歴史と伝統のある神社です。訪れるたびに新たな発見があり、その魅力は尽きることがありません。