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秩父ふるさと館

(ちちぶ ふるさとかん)

昭和初期の商家の雰囲気を残した秩父の観光拠点

秩父ふるさと館は、全国的に有名な秩父の札所巡り(秩父三十四箇所)を案内する資料館です。かつての秩父銘仙問屋であった旧柿原商店と三つの土蔵を活用し、地域の物産展示や購入、郷土料理を楽しめる観光拠点として再構築されました。

主屋は二階建ての寄棟造りで、昭和初期の商家建築の調和のとれた意匠が特徴です。同じ敷地内にある土蔵や石塀とともに、2002年に国の登録有形文化財に指定されました。ここでは着物の着付けも体験でき、着物を着て秩父の街を散策することが楽しめます。

歴史と建物の特徴

「秩父ふるさと館」は、大正から昭和初期にかけて建てられた秩父銘仙の問屋である柿原商店の店舗兼母屋と三棟の土蔵から成り立っています。この歴史的な建物を保存し、後世に伝えるため、秩父市街地のまちづくりの一環として整備されました。木造二階建ての寄棟造りで、開口部には繊細な格子戸が設けられた調和のとれた意匠となっており、平成14年8月に国の登録有形文化財に登録されています。

今に残る大正の記憶

秩父ふるさと館は、昭和初期の商家建築の形式を伝え、市街地のランドマーク的存在です。かつては大正時代に繁栄した銘仙問屋の店舗兼主屋として機能していましたが、現在は土蔵を活用して地域の物産展示販売を行い、郷土料理を提供する手打ちそば屋や夜間にはお酒が楽しめる観光拠点として再生されました。

施設の構成とサービス

秩父ふるさと館は「観光・食品コンビニ」のコンセプトをもとに、2004年4月17日に開場しました。施設内には生鮮食品や日用食料品の販売店、地元産農産物の直売、喫茶スペース、土蔵を活かした地域の物産展示販売が行われています。夜間にはお酒を楽しむことができる観光拠点としての役割も担っています。

館内には6つの個性豊かな店舗があり、「知知夫手づくり工房」、「逸見織物・出張所」、「ショットバー蔵部るみん」、「手作り雑貨集」、「レンタル銘仙イロハトリ」、そして「そばの杜」が営業しています。訪れた方々は、様々な地域特産品を購入したり、伝統的な郷土料理を楽しむことができます。

秩父三十四箇所とその伝承

秩父ふるさと館は、秩父三十四箇所の観音霊場を案内する施設でもあります。秩父札所三十四観音霊場は、埼玉県秩父地方にある34か所の観音霊場の総称で、西国三十三所、坂東三十三観音と共に日本百観音の札所に数えられています。34番札所の水潜寺で結願した後は、「お礼参り」として長野市の善光寺や上田市の北向観音を参拝することが慣例となっています。

秩父札所の歴史と江戸時代の巡礼

秩父札所の起源については諸説ありますが、代表的な説は1234年(文暦元年)の甲午年3月18日とされています。江戸時代に入ると、秩父札所は多くの江戸庶民の観音信仰巡礼の聖地として賑わいを見せました。江戸から秩父へのアクセスの良さや、短期間・低コストで巡礼できることが人気の要因でした。元禄期には、経済力を持つ江戸の町人たちが観音巡礼を目的に秩父を訪れるようになり、出開帳も盛んに行われました。1750年(寛延3年)には、秩父札所の「午歳総開帳」が行われ、この年の1月から3月には4~5万人の参詣者が訪れたと記録されています。

Information

名称
秩父ふるさと館
(ちちぶ ふるさとかん)

秩父・長瀞

埼玉県