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埼玉県立 自然の博物館

(さいたまけんりつ しぜん はくぶつかん)

巨大ザメや謎の海獣は圧巻、埼玉の自然を深く探求する旅

埼玉県秩父郡長瀞町に位置する埼玉県立自然の博物館は、90年以上の歴史を持つ、日本屈指の自然史博物館です。「埼玉の自然とその生い立ち」をテーマに、化石や岩石、動物の標本など、多岐にわたる展示を通して、埼玉の豊かな自然を深く掘り下げています。

埼玉県立自然の博物館とは

埼玉県立自然の博物館(さいたまけんりつしぜんのはくぶつかん)は、埼玉県秩父郡長瀞町に位置する自然史博物館で、埼玉県立博物館の中で唯一の自然科学博物館です。秩父鉄道株式会社が設立した「秩父鉱物植物標本陳列所」(後に「秩父自然科学博物館」に改名)の流れを汲み、90年以上にわたる長い歴史を持つ登録博物館です。「埼玉の自然とその生い立ち」をテーマにしています。

展示内容

埼玉県立自然の博物館では、埼玉県深谷市から発見された73本のカルカロドンメガロドンの歯化石(県指定天然記念物)や、秩父市大野原や秩父郡小鹿野町般若から産出されたパレオパラドキシア化石、狭山市で発見されたアケボノゾウ化石(県指定天然記念物)など、多くの貴重な化石が展示されています。

2016年3月には、パレオパラドキシアやチチブクジラなどの化石9件が「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」の一部として国の天然記念物に指定されました。

1階にはオリエンテーションホール、ディスカバリーコーナー、地学展示ホール、生物展示ホールの常設展示があります。2階には企画展示室とパネル展示があり、企画展とパネル展示は1~3ヶ月ごとに入れ替えられます。

2017年1月31日からは、常設展示の一部を改修し、パレオパラドキシアの実物化石を多く追加するなど、展示内容を充実させました。

常設展示の目玉

常設展示は、時期にかかわらず見られる展示です。博物館の目玉展示として、巨大ザメ「カルカロドン メガロドン」や謎の海獣「パレオパラドキシア」、埼玉の森を再現した大ジオラマなど、埼玉の自然に関する様々な資料が展示されています。

博物館に入ると、頭上に全長約12mの巨大ザメの復元模型が展示されています。これは「カルカロドン メガロドン」という、今から2500万年前から400万年前にかけて世界の海に栄えた巨大な肉食性のサメです。新生代新第三紀中新世に最も繁栄し、鮮新世に絶滅したと考えられています。

昭和61年(1986年)春、このサメの歯化石73本が埼玉県深谷市(旧大里郡川本町)の荒川河床に分布する約1000万年前の地層(比企層群土塩層)から発見されました。1個体の歯がこれだけ多く発見されたのは世界初のことでした。

パレオパラドキシアの展示

パレオパラドキシアは、今から約1500万年前(新生代新第三紀中新世)の秩父盆地に生息していた海獣です。秩父の太古の海「古秩父湾」には、パレオパラドキシアという海獣が生息していました。埼玉県からは、世界で最も多くパレオパラドキシアの化石が発見されています。

中でも、昭和47年(1972年)に埼玉県秩父市で発見された大野原標本と昭和56年(1981年)に埼玉県小鹿野町で発見された般若標本は、体の骨の大部分が揃っている「全身骨格」であり、非常に貴重なものです。当館では、両標本の実物化石を展示しています。

天然記念物の指定

平成28年3月には、当館が所蔵するパレオパラドキシア化石6件とクジラ化石3件及び秩父地域に点在する6つの露頭(地層が見られる場所)が、国の天然記念物に指定されました。

さわれるはく製コーナー

このコーナーのはく製は、危険な薬品や材料を使用せずに製作されているため、実際に手で触ることができます。毛の硬さや体の形を直接手で感じることができ、イノシシやキツネ、タヌキ、アナグマなどの動物のはく製に触れることができます。

野外展示と長瀞「岩畳」の自然

博物館の外では、県内の様々なカエデが見られる「カエデの森」や、高さ20m以上のメタセコイア、「日本地質学発祥の地の碑」などを見ることができます。また、博物館の周りには長瀞の豊かな自然が広がっています。

毎年11月中旬頃には、カエデの森のライトアップが行われ、幻想的に照らし出されるイロハモミジやオオモミジの紅葉を楽しむことができます。また、長瀞町の紅葉名所も同期間中にライトアップされ、長瀞全体が彩られ、例年多くの人々で賑わいます。

メタセコイアは、昭和14年(1939年)に化石が発見され、約700万年前に絶滅したと考えられていましたが、昭和20年(1945年)に中国の内陸部で生きているメタセコイアが発見 され、翌年に発表されました。「生きている化石」として非常に有名になりました。当館の庭には4本のメタセコイアがあり、これは昭和29年(1954年)にニューヨーク植物園から5本分けてもらったものです。当時は30cmほどでしたが、60年以上経過し、30m以上にまで成長しました。

所蔵資料

埼玉県立自然の博物館は、地質系資料17,593点、植物系資料76,509点、動物系資料64,089点を収集保管しています(2016年3月31日現在)。

沿革

1921年(大正10年) - 秩父鉄道株式会社が「秩父植物鉱物標本陳列所」を設立しました。秩父鉱物植物標本陳列所は、現在の自然の博物館正面の養弘亭の敷地内に建っていました。

1949年(昭和24年) - 館名を「秩父自然科学博物館」に変更し、1979年(昭和54年)に閉館しました。館舎は現在の自然の博物館の敷地内に所在していました。

1981年(昭和56年) - 所蔵品等が秩父鉄道から埼玉県に移管され、「埼玉県立自然史博物館」として開館しました。建物は前川國男建築設計事務所が設計しました。これにより、埼玉県博物館の中で唯一の自然科学博物館となりました。

1993年(平成5年) - 日本地質学会発足100周年及び長瀞町合併50周年を記念し、片岩を用いた「日本地質学発祥の地の碑」が博物館付近に建立されました。

2006年(平成18年) - 県立博物館の再編整備にともなう条例改正により、「埼玉県立自然の博物館」に改称されました。

2011年(平成23年)9月~2012年(平成24年)10月 - 施設改修工事が行われ、2012年(平成24年)10月6日にリフレッシュオープンしました。

2016年(平成28年)3月 - 所蔵する化石9件が国の天然記念物に指定されました。

国の天然記念物

埼玉県立自然の博物館が所蔵する以下の化石は国の天然記念物に指定されています:

所有するタイプ標本

当館は以下のようなタイプ標本を所蔵しています:

Information

名称
埼玉県立 自然の博物館
(さいたまけんりつ しぜん はくぶつかん)

秩父・長瀞

埼玉県