宝登山は、埼玉県秩父郡長瀞町に位置する標高468.8メートルの山です。秩父盆地の北側に位置し、山頂からは雄大なパノラマが広がります。特に、春には梅やロウバイが咲き誇り、多くの観光客が訪れます。麓には宝登山神社が鎮座しています。山の中腹から山頂にかけては、宝登山ロープウェイが設置されており、麓駅から山頂駅までの全長963メートルを約15分間で結んでいます。
宝登山ロープウェイは、年間を通じて多くのハイカーに利用されており、特に山頂駅付近には梅園、ロウバイ園、宝登山小動物公園などがあり、訪れる人々を楽しませています。山頂展望台からは秩父盆地と秩父連山を一望でき、その美しい景色が魅力です。
宝登山は、四季折々の花が楽しめることで有名です。特に1月下旬から2月上旬にかけて咲くロウバイは関東有数の植栽地として知られています。また、梅百花園では冬から春にかけて多くの梅が咲き誇り、その美しさが多くの訪問者を引き付けます。さらに、宝登山小動物公園では子どもたちにも人気のニホンザルやホンシュウジカなどの動物たちと触れ合うことができます。
宝登山神社は、秩父三社の一つとして古くから信仰を集めています。神社の奥宮は山頂にあり、ロープウェイを利用して容易にアクセスできます。宝登山神社には、日本武尊(やまとたける)の伝説があり、彼が山火事に遭った際、山犬が火を消し止めて助けたという逸話が伝わっています。これに由来して「火止山」という名前がつけられました。
宝登山は、「桜と梅と宝登の山」として長瀞八景の一つにも選ばれています。また、近年では宝登山神社が「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で一つ星を獲得し、その美しさと文化的価値が広く認められています。
宝登山の頂上からは、長瀞の街並みや荒川を眼下に見渡すことができます。秩父方面を眺めると、左手に蓑山、右手に破風山(はっぷさん)があり、その向こうに秩父盆地と周囲の山々が広がっています。宝登山の地質は御荷鉾(みかぶ)緑色岩で構成され、その周囲の低山地は結晶片岩から成り立っています。
宝登山ロープウェイは、標高497メートルの宝登山に設置されており、麓駅から山頂駅までの全長832メートルを約5分間で結びます。2台のゴンドラがつるべ式に往復し、それぞれ「ばんび号」と「もんきー号」という名前がつけられています。これらの名前は宝登山小動物公園の人気者、ニホンザルとシカにちなんでいます。
山頂にある宝登山小動物公園は、昭和35年に野猿公園としてオープンしました。自然の中でニホンザルやホンシュウジカなどの動物たちと触れ合うことができるユニークな施設で、子どもたちに非常に人気があります。大自然の中で思いっきり深呼吸しながら、楽しい時間を過ごすことができます。
宝登山には、臘梅園と梅百花園があります。臘梅園では、12月下旬から2月下旬にかけて約800株(約3,000本)のロウバイが咲き誇り、その濃厚な甘い香りが周囲を包みます。
また、梅百花園では昭和61年から植栽が始まり、現在では約170品種の梅が集められています。2月中旬頃から約470本の梅が咲き誇り、その美しさが山頂に広がります。
宝登山は、その豊かな自然と歴史的な背景、そして多様なアトラクションで訪れる人々を魅了しています。ロープウェイでの空中散歩や山頂からの絶景、四季折々の花々、さらには宝登山神社の奥宮や小動物公園など、見どころが満載です。どの季節に訪れても楽しめる宝登山は、秩父地方の自然と文化を体感できる貴重な場所です。